2021年となって 「私たちの会」より
2021年の3月11日が、近づいてきました。東北大震災と原発事故から10年経とうとしています。10年間政府は、原発事故の被害・実情を忘れさせ、原発再稼働強行に向かい続けてきました。
今、政府はコロナ問題に対しても “市民の命と健康の軽視切り捨て”による無策を続け、解決の方向が出されないままです。また逆に今の状況を利用して電力不足をあおり、原発強行策にすすもうとしています。この中で、私たちは、昨年に引き続き、「福島原発事故について、放射能被害の実情、現地のようす、政府の再稼働策について、福井県の原発を巡る動き」などの情報を、シリーズでここに出していきたいと思います。
福島原発事故から10年 ~ 原発事故と放射能被害は終わっていません!
今年2021年1月15日「福島県民健康調査の検討委員会」が開かれ、資料が出されました。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-40.html
下記表は、「東電福島第一原発事故に伴う・福島県民健康調査の検討委」資料から甲状腺がん・疑いの人数をまとめたものです。
(集計は2020年6月30日現在)
受診率は減少傾向にあり、25歳節目の検査は8・4%と一割にもなりません。しかし、甲状腺がん・疑いと診断された患者は公表の度に増加し、252人になり、手術を受けた203人のうち良性結節1人を除く202人が甲状腺がんと確定しました。OurPlanet-TV(http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2537)では、今回甲状腺がんと診断された人の被ばく線量の高さに言及しています。4巡目の検査で悪性疑い27人のうち基本調査票がある11人の事故後4ヶ月の被ばく量は、1mSv未満が2人、1~2mSv未満が4人、2mSv~5mSvは5人で一番多くなっています。
甲状腺がん・疑いと診断された患者の事故当時の平均年齢は、1巡目から4巡目に進むにつれて低くなっています。4巡目では事故当時の平均年齢が8歳、0歳・2歳だった子ども(検査時9歳、11歳)が、がんと診断されました。被ばくとの関連を否定する専門家が、「チェルノブイリでは年齢の低い子どもの発症率が高い」ことを論拠にしていましたが、福島でも同様に被ばく時の年齢の低い子どもの発症率が上がっています。
乳幼児だった子どもががんを発症し、事態は深刻化しているのに、15日の検討委員会では、国立がん研究センターの津金昌一郎委員や広島大学の稲葉俊哉教授などから学校での甲状腺集団検診をやめるようにという意見が出されました。甲状腺がんと診断される人たちにとっては不利益しかなく、検査が授業時間に行われることも問題だという理由です。これに対し、福島大学の富田哲教授や福島県臨床心理士会の安倍郁子会長は「福島県外の委員から検査の中止や縮小を求める声が上がっているが、福島県民の多くが健康への不安を抱えており、子どもを持つ親の不安が置き去りにされる。簡単に縮小方向に行くことは危険な考え方だ」と強く反対しました。
福島県は、今回まとめられた学校に対する調査に加え、検査対象者への聞き取りを始めることを提案しました。どの地域の誰から聞くのか論議になりましたが、聞き取り対象者を決めるのは星座長と福島県に委ねることになりました。
今求められるのは、集団検診中止ではなく、年齢や地域を広げた検診の拡大です。放射線被ばくの被害に対し、世代を超えて補償するのが国・政府のするべきことです。
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