関電老朽原発高浜1号起動 福井と関西の団体からの抗議声明

抗 議 声 明

国内で最も古い高浜原発1号の原子炉起動に抗議する

関西電力は本日(7 月 28 日)、運転開始から 48 年となる国内で最も古い老朽原発高浜1号

の原子炉起動を強行した。福井県民、関西と中部地域の周辺住民、そして全国の人々の反対

や不安の声を踏みにじるものである。これに強く抗議する。

関電は、年末までに使用済燃料の中間貯蔵の計画地点を確定するという、福井県との約束

を果たせる見込みがなくなった。そのため、使用済燃料の現在貯蔵量のうちわずか 5%をフ

ランスに搬出する計画を、6 月 12 日に知事に伝えた。関電社長はこの計画を「中間貯蔵と同

等の意義がある」、「今年末までに計画地点を確定するという知事との約束はひとまず果たさ

れた」と平然と述べた。

経産大臣は、即座に関電の計画を追認し、資源エネルギー庁の小沢次長を県に派遣して説

明に努めた。これに対し県は、その説明を是認せず、4 項目の質問事項を提示して再説明を

求めた。その質問内容では、六ケ所再処理工場を含む核燃料サイクルの事実上の破綻状態が

強く示唆され、そのような状態で県内の使用済燃料の行方はどうなるのかという強いいらだ

ちが感じられる。県内の使用済燃料プールは、当初の予定をはるかに超えたぎゅうぎゅう詰

め状態で、それでも5~7年程度で満杯になるが、それを国はいったいどうするのかが差し

迫って問われている。

しかし、国は7月20日終了の今議会中に説明することはできず、問題は先延ばしにされ

て何ら進展はなかった。6 月福井県議会では、関電の計画と国に対して、多くの議員から批

判が続き、知事は関電の計画に対する態度表明を先送りした。一方関電は、2021 年に知事に

対して「2023 年末までに計画地点を確定できなければ、40 年超えの原発 3 基(高浜 1・2 号、

美浜 3 号)を止める」と約束していた。しかし知事は、この約束を自ら封印し、中間貯蔵と

再稼働は切り離すとして、高浜 1・2 号の再稼働を黙認している。

このような県民、周辺住民を愚弄する傲慢な関電と国の態度を断じて許すことはできない

し、知事の姿勢にも強く抗議する。

また、フランスへの搬出は1回きりで継続するものではなく、発熱量の高い使用済 MOX 燃

料については、搬出の可能性も定かではないという問題もある。

私たちは、高浜町申入れや福井県への要望書で住民説明会を開くよう求めてきたが、県民

の声を聴くことさえしない。私たちは 6 月から、高浜町内で戸別訪問・カラーリーフの配布

を続けてきた。町全世帯の 85%にあたる約 3,650 世帯をまわり、老朽原発の再稼働への不安

や事故になれば故郷に戻れなくなる等の不安の声を多く聴いてきた。県は住民の声を汲み取


らなければならない。

国内で最も古い高浜原発 1 号は、老朽化に伴う危険と同時に、審査基準に違反したままで、

危険な運転を始めようとしている。避難計画にも実効性はない。

○高浜 1 号の原子炉容器は国内で最も脆くなっている:事故時にECCSの水が注入され冷

やされると、小さな傷がきっかけで原子炉容器が割れてしまう危険性がある。この脆くな

る温度(脆性遷移温度)が、廃炉になった玄海 1 号より高く、国内で最高温度となり危険

な原発だ。

○電線管の火災防護対策は審査基準を満たさず不備のまま:重要設備に関わる電気ケーブル

は、火災で 2 系統が同時に機能しなくなる事態を防ぐため、耐火壁などで分離する必要が

ある。しかし関電は、基準通りの対策には時間がかかるとし、電線管から水平距離 6m 以内

に可燃物を持ち込まない等の安易な対策を示した。規制委員会はこれを「基準と同等」と

して認め、事業者のいいなりになっている。

○電気ケーブルの絶縁性能低下の評価では、重大事故時を考慮せず審査基準に違反:2016 年

4月に改定された運転期間延長審査基準では、新たに「重大事故等環境下で機能が要求さ

れる電気・計装設備に有意な絶縁低下が生じないこと」が要求されている。しかし審査で

は「重大事故等環境下」は基本的に考慮されず、老朽原発 3 基の 20 年延長を認可している。

○避難計画に実効性はない:私たちは高浜原発事故時の避難先自治体にアンケートを実施し

た。多くの自治体は、避難時の被ばく検査の基準等も知らず、避難元と協議することもな

い。事故の危険は高まるばかりだが、避難計画は形式だけで、住民の安全を守るものでは

ない。

原発事故を再び繰り返してはならない。

関電はただちに高浜 1 号の原子炉起動を中止せよ。

2023 年7月 28 日

ふるさとを守る高浜・おおいの会/ 安全なふる里を大切にする会(若狭町)/原発なしで暮らしたい宮津の会/ 避難計画を案ずる関西連絡会(連絡先:グリーン・アクション/原発なしで暮らしたい丹波の会/ 脱原発はりまアクション/ 原発防災を考える兵庫の会/ 美浜の会/避難計画を考える滋賀の会)


この件の連絡先

ふるさとを守る高浜・おおいの会:高浜町小和田 29-17 東山方 TEL/FAX:0770-72-3705

美浜の会:大阪市北区西天満 4-3-3 星光ビル 3 階 TEL:06-6367-6580 FAX:06-6367-6581


抗議声明

http://www.jca.apc.org/mihama/hairo/statement20230728.pdf