抗 議 声 明 40 年超え老朽原発・高浜 2 号の原子炉起動に強く抗議する

抗 議 声 明

40 年超え老朽原発・高浜 2 号の原子炉起動に強く抗議する

 関西電力は 9月 15 日、運転開始から 47 年を超える老朽原発高浜2号の原子炉起動を強行した。事故が起これば、福井県をはじめ、関西、中部など広範囲に被害が及ぶ。多くの人々の反対の声や不安の思いを踏みにじる原子炉起動の強行に強く抗議する。

 関電の原発 7 基の内、3 基が 40 年超えの老朽原発となる(高浜 1・2、美浜 3 号)。老朽化した原発の運転が増える中で、事故の危険は一層高まっていく。

 高浜 2 号は、安全性において国の基準さえ満たしていない。避難計画も実効性がないままだ。

 取替えのできない原子炉容器は、中性子を浴び脆くなり、事故時の注水で割れる危険が高まる。そのため、原子炉内に入れた母材と溶接金属の 2 種類の監視試験片を取り出して、脆くなってい る状況を確認することになっている。規制基準では運転期間延長申請にあたり、運転開始 30~40年後の間に取り出すよう求めている。しかし、高浜 2 号の母材試験片は、運転開始 27 年目に取り出して以降、試験を実施していない。これは規制基準に違反している恐れがある。また関電は、過去 4 回の試験で、母材か溶接金属のどちらかの試験片しか取り出していない。通常であれば、両方の試験片を同時に取り出して試験すべきだが、極めてずさんな試験だ。

 電気ケーブルの絶縁性能について、規制基準では、重大事故の厳しい状況でも安全が保たれることを評価するよう求めている。しかし、原子力規制委員会は、自らの基準に反して重大事故時の評価・審査を実施せず、老朽原発 3 基の 40 年超え運転延長を認可している。

 火災防護対策も規制基準違反のままだ。規制委は 3 月、関電と九電の全原発で、異なる系統間の分離がなされておらず、基準違反になっていると公表した。しかし、基準通りに対策すると時間がかかるからと、6m以内に可燃物を持ち込まないようにするという関電の簡易な代替策を「基準と同等」として認可した。

 関電は、中国電力と共同で、山口県上関町に中間貯蔵施設の建設を狙っている。関電は、今年年末までに福井県外で中間貯蔵施設の計画地点を確定すること、それができなければ老朽原発 3基の運転を停止すると福井県に約束している。候補地を示せず期限が迫る中、8 月 2 日に、中国電力の後ろに隠れながら、上関町での計画を表明した。中間貯蔵は、使用済燃料プールが満杯に近づく中、使用済燃料の保管場所を確保し、原発の維持・延命を図るものだ。核燃サイクルが事実上破綻している中、中間貯蔵を受け入れれば、永久の核のゴミ捨て場にされるのは必至だ。まして、関電の管轄外の遠く離れた上関町に押し付けるなど許されない。

 関電がなすべきことは、核のゴミ捨て場探しではなく、行き場のない使用済燃料を増やさないことだ。まずは老朽原発 3 基の運転を停止すべきだ。

 私たちは6、7月に福井の皆さんと共に、高浜町で戸別訪問を行い町全体の85%にあたる約3,650世帯を回った。老朽原発は怖い、事故時に道路がふさがれて避難できない等の多くの不安の声を聴いてきた。関電はこのような住民の声と向き合い、ただちに高浜2号の運転を停止すべきだ。

2023 年 9 月 15 日

原発なしで暮らしたい宮津の会/ 避難計画を案ずる関西連絡会

(避難関西の連絡先団体:グリーン・アクション/ 原発なしで暮らしたい丹波の会/

脱原発はりまアクション/ 原発防災を考える兵庫の会/ 美浜の会/ 避難計画を考える滋賀の会)

この件の連絡先 美浜の会:大阪市北区西天満 4-3-3 星光ビル 3 階 TEL:06-6367-6580