「チェルノブイリ28年目の子どもたち」3月29日芦屋白石草さん講演会に参加して
白石草(はじめ)さんはウクライナを昨年までに2度訪問し、映像と岩波ブックレット「チェルノブイリ28年目の子どもたち」にまとめられた。今回の講演会は、フクシマの子どもたちを守るために、ウクライナに学ぶ目的で開かれた。(主催・美浜の会、原発なしで暮らしたい丹波の会、グリーンアクション、大飯原発止めよう裁判の会)
〈チェルノブイリ原発からコロステンは140km。高浜原発から京都は60km・大阪は90km〉
「ウクライナから学ぶ」という話の初めは、コロステン第12学校(6歳~17歳まで公立の一貫校)の様子だった。コロステン市はチェルノブイリ原発から140kmのところにある。 距離は、高浜原発から京都や大阪や神戸の方が、ずっと近いことをまず確認した。
〈ウクライナの教育と医療の充実〉
コロステン市の25年間の積算被ばく線量は平均15~25mSv。チェルノブイリ原発事故から30年近く経た低線量被ばく地域の学校でも授業時間短縮や試験の免除や優遇がされ、今も体育は、健康状況によって基準通りの授業から体育免除まで4グループに分けて行わざるをえないという。給食は今なお放射性物質を計測しており、「健康防疫省の抜き打ち検査の方が保護者の目より厳しい」というのには驚かされた。学校には医師、看護師、歯科医、(幼稚園にはマッサージ師も)いて、常に子どもの健康に気を配っている。
事故後、甲状腺がんや白血病が増えたが、28年経った現在、小児甲状腺がんはなくなったそうだ。しかし、100%健康な子はおらず、先天性心臓病や慢性的な病気が増え、複数の疾患を持つ子どもも多い。保健室は診察室、治療の部屋、歯科の部屋、アロマの部屋の4部屋あり、小児科医が常駐し治療も行っている。
子どもの検診は、検診の手引き、被ばくリスク段階、健康診断指針などが整備され、きめ細やかな診断がなされている。
〈日本政府が隠した?「チェルノブイリの健康影響25年・ウクライナ報告書」〉
2011年4月に「チェルノブイリ25年ウクライナ国家報告書」が出された。フクシマ事故のあとだったので、私たちもこれを見て、直接被ばくしていない2世代目の子どもたちの健康にも影響が出ていることに愕然とした記憶がある。しかし、白石さんはウクライナ放射線医学研究センターと長崎大学との協力で更に詳細な健康影響の研究をまとめた報告書が2011年8月に公表され、日本にも300冊送られていた事を明らかにした。その報告書にはあの山下俊一が「はじめに」で、「この研究は日本にも寄与する」と書いているそうだ。白石さんは報告書を求めて国会図書館を始め、放影研や長崎大学などに尋ねたが、見つからなかったという。ウクライナの人々が日本の子どもたちを心配し、健康被害を食い止めるために研究報告を送ってくれたにもかかわらず、それを活かそうとしない。それどころか隠して事故の責任逃れをし、原発を推進へ進める日本政府なのだ。
〈「チェルノブイリ法」に守られる住民・子ども達・被害者〉
1991年に成立したチェルノブイリ法に基づいて現在でも240万人の被ばく認定者に補償や支援が行われている。元々社会主義国だったので、教育や医療が無償な上に被ばく者には年金の早期受け取り、大学への優先入学、家賃や交通機関の無料券、健診、被汚染食料の配給など多くの特典がある。最も大きいのが「保養」プロジェクトで、旧ソ連での保養文化(労働組合の夏期休暇、子どものピオネール活動など)がベースにあり、病気がある場合は社会保養庁の負担で大人も子どもも年21日間の保養が保障されている。 治療内容に種々のセラピーや、温熱療法、鍼灸等あるので意外だったが、放射線による健康被害は、免疫力の低下・疲れやすいなど老化に似ていて、老化防止の療法が効くそうである。
教育科学省は、汚染地に住んでいる子どもを守るために保養は重要であり、国家の義務と考えているそうだ。
チェルノブイリ法ができた当時はソ連邦に賠償を要求していたが、ソ連崩壊後、ウクライナ政府の責任で行わなければならなくなった。金銭的な賠償は制度通りに支払えたことがなくわずかだが、社会保障の充実によって健康被害を食い止める努力をしている。
〈健康被害を認めず子どもを利用し帰還強化政策。西日本からもっと声を上げてほしい。〉
汚染は、宮城・福島から東京を含む関東一円に広がっている。福島県外で甲状腺異常が自覚症状で分かった子どもも出ているそうだ。ところが、福島県産中心の学校給食、子どもの帰還を促進する目的で広野町に「ふたば未来学園」を開校、Jヴィレッジへの五輪誘致等々の「復興政策」の中で、何も言えなくされている。政府も「原発事故子ども・被災者支援法」を棚ざらしのまま対策はほとんどない。原発推進のためには避難はさせず、被災者をできるだけ0〈ゼロ〉にしていきたいのが日本の政府だと言われていた。そして、日本の最大の問題は「どうせ被ばく影響の立証は誰にもできないだろう」と被ばくを認めようとしないことだと指摘された。被ばくを認めれば、①東電と経産省②スピーディを隠した国と福島県③ヨウ素剤を飲ませなかった専門家④事故の影響を過小評価した専門家の責任が問われる。そして、小児甲状腺がんが見つかっている60km、90km、100km圏でのヨウ素剤が必要ということになる。原発再稼働のための避難計画が問われているが、政府は小児甲状腺がんの多発を問題にしないよう必死になっていると明解な分析をされた。
放射能汚染地域で話題にもできない現状を変えていくために、西日本から原発再稼働反対と原発事故の責任を
問う声をもっと上げてほしいと、強く求められた。
私達は引き続き以下、取り組んでいます。何かありましたら連絡を ご協力を お願いします! ●(福島県・東北・関東のご家族へ)「保養の家」大阪市内---引き続き取り組んでいます。
5月~8月も、実施します。
●「野菜を作ったがあまっている」「安心できる食べ物・飲み物を送れる」「タオル、ハンカチ類ある」
「幼児小学生の衣服靴下残している」------連絡ください。福島市内の児童施設に送ります。
特に今「小学校低学年の雨傘」「小学校高学年、中学生の折りたたみ傘」「雨合羽(上下別になったもの)
S、M、L各サイズ(半透明の色)」「使い捨てマスク(子ども用は十分に揃いましたが中高生用の大人用
が今品切れです!)」「500mlのステンレススリムポット30本」 が、必要だそうです!
●「浪江町『請戸(うけど)の田植踊り』を伝えようと姉妹が一生懸命踊ります!~~絵本「たんぽぽの
願いきっとはこべる」作成中(教室実践に即使えます。)
● 国相手の「大飯原発3・4号運転差し止め裁判」は、次回6月24日〈水)2時大阪地裁です。
“今の避難計画では、原発事故で関西の住民子ども達の命と安全は全く守れません!”原発再稼働断固反対!
「カラ-リ-フレット・避難計画では住民の安全は守れない」(発行:避難計画を案ずる関西連絡会)あります!
●「原発事故で関西に避難してきた人達による、国と東京電力に対しての損害賠償請求訴訟」第4回裁判
5月28日(木)2時大阪地裁です。
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