「子どもたちに未来をわたしたい・大阪の会」ニュース2017年6月

5月30日復興庁が発表した資料に「大阪府への東日本大震災避難者数は88人」と。


  2012年春「1500人」と公表されていた避難者数が今「88人」とはどういうことか? 原発事故と避難者問題軽視の杜撰な調査としか思えません!


 ~避難者のかた多くの人が疑問を持ち、私達も大阪府や復興庁に問い合わせし抗議しました。~


 大阪府は、今年5月の東日本大震災避難者数を「88人(4月統計は147人)」と報告し、それが全国の統計にそのまま計上されていました。「6月5日福島県民健康調査検討委員会の資料」の「都道府県別県外検査実施状況」にさえ、3巡目で検査を受けた人数(対象者事故当時18歳まで)を「大阪府140人 兵庫県65人 奈良県13人」としています。

 福島県だけに限っても「140人」の子ども・若者が大阪府で生活していることが明示されているのです。「88人」という発表に、多くの人が疑問と不信感を持ちました。 大阪府が報告した数字をさかのぼって見ると、「2015年度集計2016年3月に697人」だったものが、「2016年4月に突然274人減の423人」になっていたのです。昨年3月から4月にかけて、274人もの大量の避難者が大阪府から避難元に帰還した事実はありません。大阪府危機管理室防災管理課に尋ねると、「昨年4月に担当者が替わり、復興庁の集計表がA住宅等(公営、応急仮設、民間賃貸等)、B親族・知人宅等、C病院等の区分になっているので、府で把握できる府営・市営住宅、UR、雇用促進住宅などの入居者だけを計上した」と返答がありました。公務の引き継ぎもされず、確認できないもの(民間賃貸入居者89人、親戚知人宅185人)は「不明」とすべきところを「人数0」にして報告していました。

 さらに、府下市町村への問い合わせさえしていないという実態が新聞報道(裏参照)で明らかになりました。

 それに加え、大阪府は、災害救助法適用者(被災3県からの支援要請がある人)だけを避難者とみなし、住宅支援が打ち切りになったこの4月、府営・市営住宅に正式入居した区域外避難者を避難者数集計から削除したのです。


 他県を見ると、2017年5月の避難者数が兵庫県は829人、奈良県は139人となっており、区域外避難者も含めていることが見て取れます。「帰還を押し付け避難者を無きものにしよう」という国の政策に沿った大阪府のこの行為は許し難いものです。 さらに問題なのは復興庁自身が、集計に区域外避難者を含むかどうかを明確にせず、自治体からの報告を点検もしないまま公表していることです。誰のための何のための復興庁なのか、大臣を入れ替えても本質は変わりません。新聞報道では、「大阪府に指導した上、6月13日には全国の都道府県に対し、市町村に問い合わせて避難者数の把握につとめるよう改めて要請した」と。

 

  この要請は復興庁自ら行ったのではなく、避難者の方からの申し入れや新聞報道があったからなのです。 


そして 大阪府は6月16日「府の避難者数88人を793人に訂正」と発表

 大阪府は、各市町村に照会し、4月からの訂正を含め6月分を復興庁に「783人」と報告(6月16日)。大阪府と復興庁の、無責任で杜撰な「避難者調査」は、彼らの原発事故と放射能被害、避難者問題に対する姿勢を表すものと思われます。私達は強く抗議します。チェルノブイリでは今でも、避難者(移住者)の健康を守るために、国による施策が行われています。子どもたちの長期の保養も実施されています。権利が認められているため、避難者(とその子孫)として堂々と生活できているのです。

 政府・復興庁も大阪府も、避難者が災害・原発事故の被害者であることをきちんと認め、その保護に力を尽くすべきです。「子ども被災者支援法」を実体化させ、健康な暮らしができるような施策を立てることが本来の行政の仕事ではないのでしょうか。


(毎日新聞6月10日) 震災避難 大量の集計漏れ 数百人規模、大阪府が確認怠る

 復興庁が都道府県からの報告に基づいて毎月公表している東日本大震災による避難者数で、大阪府がデータに大量の集計漏れがあることが分かった。同庁は民間の賃貸住宅や親族宅などに身を寄せる人も避難者に含めるよう指示しているが、府は仮設住宅の入居者数だけを報告していた。同庁はカウント方法を改めるよう府に要請しており、5月16日時点で88人だった府内の避難者数は数百人規模で増える可能性がある。

 震災を受け、国は被災地から全国各地に移動した避難者を追跡しようと、避難先の市区町村の窓口で居場所などを登録する「全国避難者情報システム」を整備した。ただ、登録しない避難者がいる上、登録を解除せずに帰還するケースもあるため、正確な避難者数を即座に把握することはできない。そこで、復興庁は都道府県に対し、同システムの登録人数を参考にしつつ、市区町村と連携して避難者の動きをできるだけつかみ、実数に近い人数を報告するよう求めている。 

 府も当初、市町村に定期的に連絡し、避難者数を確認していた。しかし、次第に問い合わせを怠るようになり、昨年4月以降は、公営住宅などを仮設とみなす「みなし仮設住宅」の入居者数しか数えなくなった。この結果、システム上の避難者数(1230人)と復興庁への報告人数(88人)に10倍以上の差が生まれた。今月になって外部から指摘があり、集計漏れが判明した。府防災企画課は「不正確な数字の公表で誤解を招き、申し訳ない。1230人の方が実態に近いと思う。できるだけ実数を把握する方法を考えたい」としている。 


 同庁によると、5月16日現在の全国の避難者数は9万6544人。      

*関西学院大学災害復興制度研究所の野呂雅之教授(災害復興学)の話 「大阪府の調査はずさんで、行政の公表データに対する信頼を損なうものだ。原発事故のように避難が長期化すれば、仮設住宅を退去して家賃負担が発生するなどの変化があり、避難者を追跡して生活実態を把握することが支援策を考える上で欠かせない。府の対応には、生活再建を支えようという姿勢が感じられない。」 


(毎日新聞6月17日)東日本大震災 集計漏れ最大700人 避難者5月分で大阪府

 復興庁が毎月公表している東日本大震災の避難者数のうち、大阪府で大量の集計漏れがあった問題で、府は16日、集計し直した人数を発表した。他の都道府県と同じように市町村に問い合わせた結果、147人と公表していた4月分は809人、88人としていた5月分は793人だったことが分かり、同庁に報告した。6月分は783人だった。

 復興庁は都道府県に対し、避難者が身を寄せている可能性のある市町村に照会して民間賃貸住宅や親族宅にいる避難者数も含めて把握し、毎月報告を求めている。府も震災後しばらくは市町村に確認していたが、次第に怠るようになり、2016年4月からは仮設住宅の入居者数しか集計しなくなった。京都府や兵庫県と比べて復興庁の公表データ上の避難者が極端に少なくなり、外部から疑問の声が上がっていた。



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